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自爆ボタン

少し壊れた腕時計、使えないけれど動き続けている。



腕時計が少し壊れた。

カシオの腕時計。そんなに高いものではない。文字盤に当たった光で発電して動き、電波を受信して時刻を自動的に合わせる。故障しない限り、半永久的に使えそうな物だ。この光を当てると動くという仕組みのおかげで、まるで光合成をする植物のような有機的な存在に思える。

去年11月の半ば頃、時刻が少しずれていることに気づいた。どうも時刻調整の電波を受信していなかったようだ。説明書を見ながら電波を受信する操作をしてみたが上手くいかず、空の雲が邪魔していたり電波を発信する側で何かトラブルがあったのしれないなどと思いながら手動で時刻を合わせた。そこから色々おかしくなっていった。

この腕時計は小さな小窓に日付も表示される。そして12月1日が来たとき、俺の腕時計の日付は31日を表示した。手動で時刻を合わせた腕時計は、今が何月で何日まであるのかという『西向く侍(2・4・6・9・11)ルール』を無視するようになってしまった。それでも1日しかずれていないので、書類に日付を書くときは腕時計の日付に1を足すことで凌いだ(ところで1日から31日までの日付をアナログで表示する部品は、小さな腕時計の中にどのように折り畳まれているのだろうか)。

年が明け、呆然としているうちに春一番が吹いた。暦が3月4日になった日、俺の腕時計の表示は(2月)31日であった。相変わらず時刻調整の電波は受信しないが、光を当てているので時刻表示はちゃんと動いている。

3月5日になって腕時計はやっと1日を表示した。さすがに日付表示がずれすぎて、何日足すのか引くのかもわからなくなった。電波は受信しなくてもそれ以外はちゃんと動くのだから、もう一度日付と時刻を手動で合わせようと思った。

説明書には2つのボタン――凹んでいるボタンを先の尖ったもので押しながら、出っ張っているボタンを押せと書いてある。その通りにやってみたが、出っ張っているボタンが固くて、ちゃんと押せているのかいないのかわからない。指の腹の痛みを我慢しながら何度も試していたら、押しっぱなしにしていた凹んでいるボタンが凹んだまま戻らなくなってしまった。時刻調整モードにすると勝手に逆回転を始める俺の腕時計。もう現在の日付時刻に合わせることはできない。

今この世界が3月27日の午前5時になった瞬間、腕時計は(3月)20日7時39分の時間を刻んでいる。まるでSFで、一緒にいた相棒が光速移動をしたせいで両者の時間の進み方が異なってしまい、違う時代に離れ離れになったような寂しさを感じる(『トップをねらえ!』)。

違う日付時刻を正確に刻み続けている腕時計、もう捨てるべきなのか。どこへ、どうやって捨てればいいのだろうか。なにか使いみちはないだろうか。

このまま腕時計を持たず、時間を見るためにいちいちスマホを取り出すわけにもいかない。だから新しい時計をネットで注文した。

カシオの腕時計。そんなに高いものではない。文字盤に当たった光で発電して動き、電波を受信して時刻を自動的に合わせる。故障しない限り、半永久的に使えそうな物だ。

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